ドイツテニス事情

ドイツでのテニス始め方ガイド「実践編」|クラブ入会から試合参加まで

この記事は、以前書いた「日本とは違うドイツでのテニスの始め方」の“実践編”となっています。

今回はより現場寄りの「制度・手続き・運用のリアル」をまとめました。

初めてでも動きやすくなるよう、実例とちょっとしたコツも合わせて紹介します。

この記事でわかること

  • ドイツのテニスクラブの仕組みと費用感
  • 屋外/屋内コートの使い方・予約・ゲスト利用のルール
  • Medenspiel(クラブ対抗戦)の流れと当日の過ごし方
  • LK(Leistungsklasse)の上げ方・大会エントリーのコツ
  • 初年度の動き方ロードマップ&問い合わせ例文

ドイツの「クラブ」仕組み

クラブはドイツを代表する地域のコミュニティであり、同時に各スポーツ施設の運営を行っています。

会員制が基本で、屋外コート(主にクレー)を持っていて、会員はそこでほぼ毎日プレーすることができます。

屋内コートは民間のテニスセンターが多く、クラブとは別料金。

会員種別はいくつかあり、大人、学生、ジュニアなどで会費が異なります。

年会費のほかに「加入金」や「労働奉仕(Arbeitsstunden)」があるクラブもあります。

労働奉仕とは年に数時間クラブ作業をする制度で、やらなければ1時間あたり€10〜€20くらいの清算になるのが一般的です。

費用の目安

  • 年会費:大人 €200〜€700、学生 €80〜€300
  • 加入金:€0〜€200(無料のクラブも増えています)
  • 労働奉仕:3〜10時間/年
  • ゲストプレー:1人あたり€5〜€15/回

ドイツのテニスクラブでは屋外は“会費で使い放題”、屋内は別料金となります。

コートの種類と道具のルール

夏シーズン中(4月から10月)のみ使用ができる屋外コートはクレーコートが主流です。

ヨーロッパ特有の赤土のコートで、日本のクレーコートとは少しバウンドなどが異なります。

試合や練習後はブラシでコート整備をし、必要な場合はスプリンクラーを作動させ散水します。

靴はクレーコート専用がおすすめです。

屋内(冬)はカーペットコートが主流で、必ずカーペットコート専用のインドアシューズを使います。

一部の施設ではソールに色が付いている靴は禁止などのルールがあるため、初めて行く施設は受付でご確認を。

コート予約の仕方

屋外クラブコートはクラブの掲示板やオンラインで予約可能です。

屋内コートは同じく専用のオンラインまたは電話で予約するケースが多いです。

また冬は「定期契約(Abo)」で毎週同じ時間を押さえる文化が根強くあり、チーム練習などは予めシーズン中の練習コートを押さえて使用していることが良くあります。

ゲスト利用について

クラブの屋外コートは会員同伴のみ可が原則となります。

屋内コートは非会員でも予約可のコートが多いため、旅行や短期滞在の人にも便利です。

クラブの探し方と入会までの流れ

step
1
クラブ探し

Google Mapsで「Tennisclub+街名」、州連盟サイトなどで検索をして地元クラブを探す。

step
2
見学・体験

電話やメール、問合せフォームなどで施設見学(Schnuppern)を申し込み。

step
3
入会手続き

申込書提出(住所・生年月日・口座情報)※会費は口座引落しが一般的です。

step
3
登録完了

クラブからメール等で「会員番号」「予約アカウント」「施設の暗証番号」などが送られてくる。

登録が完了するとクラブシステムに自分の名前が登録され、オンラインでコート予約が可能になります。

クラブ探しのポイント

私が実際に新しいテニスクラブを探す上で重視したポイントを紹介します。

①自宅からの近さ

一番は自宅からの近さ、アクセスの良さです。

クラブでテニス仲間ができてくると週に2.3回クラブに通うこともあるため、いくら良いクラブがあってもアクセスが悪いと通うのがストレスになってしまいます。

車の場合は、クラブまでの渋滞状況なども考慮すると良いと思います。

 

②スタッフ対応の良さ

続いてはフロントスタッフや運営スタッフの対応の良さになります。

入会時はクラブ内に知り合いや練習相手がいない場合がほとんどですので、どうしてもクラブ内のスタッフにアテンドしてもらう必要が出てきます。

そのスタッフの対応が悪いと一向に練習相手が見つからないなんてこともあり得ますので、メールのレスポンスの速さや見学時の対応のなどでしっかりサポートしてくれるクラブを選んだ方が良いと思います。

 

③登録チームとメンバーのレベル

テニス経験者でクラブ対抗のリーグ戦に興味のある方は、自分に合った年代のチームがあるかどうか、同じような実力のチームメイトが在籍しているかがとても重要になります。

これらはWTBのサイトでクラブ検索をすると、登録チームと所属しているメンバーの年齢やLKが全て表示され確認することができます。

テニス未経験者の場合は、クラブのホームページなどでビギナー用のテニスレッスンを実施しているのか、コーチレッスンなどを行っているか確認が必要です。

 

Medenspiel(クラブ対抗戦)の仕組み

Medenspiel(クラブ対抗戦)とは、州連盟が主催する団体戦で、男子(Herren)、女子(Damen)、年齢別(H30、D40…)など性別と年代別にカテゴリーが分けられています。

また、チーム構成は6名編成(6シングルス+3ダブルス)、もしくは4名構成(4シングルス+2ダブルス)があり、試合形式は2セット先取(1-1の場合は10ポイント先取のマッチタイブレーク)となります。

夏は屋外、冬は屋内で行われ、それぞれ別リーグとなります。

メンバー構成は各チームの代表者(Mannschaftsführer)が選んでいるため、LKがない場合は代表者への実力アピールも大切になってきます。

当日は挨拶(オーダー確認)→シングルス→ダブルス→試合後に軽食や談笑、という流れです。

試合結果はホームの代表者がスコア表を本部に送信してくれますので、遅くとも翌日にはWTBの公式サイトに反映されています。

クラブ対抗のリーグ戦に興味のある方は、フロントスタッフ経由で各チームの代表者にコンタクトを取ってもらいチーム練習に参加する機会を得てください。

LK(Leistungsklasse)について

ドイツ国内のランキング指標で、25から1と数字が小さいほど強くなります。

クラブ対抗のリーグ戦やLKトーナメントで結果を出すとポイントが入り、毎週更新されます。

DTB-IDが必要で、クラブに所属し連盟に登録されると付与されます。

ドイツ国籍でなくてもクラブ所属・登録があれば問題ありません。

よくある質問Q&A

ビジターだけで屋外コートは使える?

→原則NGです。会員同伴が必要です。

英語は通じる?

→都市部や若い人は通じやすいですが、試合中に使う簡単なドイツ語は覚えておくと安心です。

ボールは持参?

→練習時のボールは持参です。リーグ戦やLKトーナメントは主催側が支給してくれます。

ラケットの張替えはどこで?

→クラブ内の張人/テニスショップ/大手スポーツ店などです。工賃€15–€25+ストリング代が目安。

 

そのまま使える問合せテンプレ

見学・体験申込み(ドイツ語)

題名

Anfrage zur Besichtigung des Tennisclubs

本文

Guten Tag,
ich interessiere mich für eine Mitgliedschaft in Ihrem Tennisclub und möchte mich daher bei Ihnen melden.
Bieten Sie derzeit Besichtigungen des Clubs oder Schnuppertrainings bzw. ähnliche Veranstaltungen an?
Vielen Dank für Ihre Zeit und Ihre Rückmeldung im Voraus.

Mit freundlichen Grüßen
[名前], [連絡先]

(日本語訳)
こんにちは。
テニスクラブへの入会を検討していてご連絡させていただきました。
クラブの見学、もしくは体験レッスンなどのイベントは行っておりますでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、ご返信の程宜しくお願い致します。

まとめ

ドイツでのテニスライフを充実させる一番の手段は、地元のテニスクラブに入会することです。

最初の一歩さえ踏み出せば、クラブ制度の仕組みが自然とテニスのレベルアップや仲間づくりへ連れていってくれるはずです。

このガイドを片手に、まずは最寄りクラブのドアをノックしてみてください。

-ドイツテニス事情
-, , , , , , , , ,